石川初さんのレクチャー@ゲンロンカフェ
植物や地形、地図に詳しいだけでなく、GPSでの移動ログを利用して絵を描いたりなどされている石川初さんのレクチャーを聞いて来ました。全3回の最初の回です。タイトルは「地図と地上へのまなざし」。twitter実況する人が多く集まったため、レクチャーを多面的に見返すことができます。見たい人はこちらをどうぞ↓
ゲンロンスクール 石川初「地図と地上へのまなざし」第1回実況まとめ - Togetter
また、当日の資料を石川初さんが公開してくれています↓
会場で配布した資料はこちらです。レクチャーで参照・引用した文献とウェブサイトのリスト。リンク先PDF注意。 dropbox.com/s/qs4wfbllcz8y…
— 石川 初さん (@hajimebs) 2013年5月19日
今回講師をしていただいた石川初さんは、株式会社ランドスケープ・デザインに勤務されているランドスケープデザイナーです。著書として「ランドスケール・ブック ― 地上へのまなざし」(AA)があります。また1994年から2008年まで出版されていた建築雑誌「10+1」に寄稿されており、「東京エキゾチック植物ガイド」など面白い論文を執筆されています。
レクチャーの感想
検索ワードの地域別動向:落花生の検索回数(Yahoo!ラボ)
左:2012年2月3日、右:2012年1月21日〜2013年1月20日
豆まきは「大豆」派? それとも「落花生」派? - Yahoo!検索ガイド - Yahoo! JAPANより
レクチャー内容は実況まとめを見て頂ければよいとして、今回の感想を。
特に面白かったのが、多くの情報を地図にプロットし、そこに表れた形から別の情報を導き出す「マッピング」という考え方です。これは、質疑で小林勝平さんが指摘されていたようにログの集積をベースとした「一般意志2.0」や、近頃話題の「ビッグデータ」と非常に近い考え方なのだと思います。一般意志2.0にしてもビッグデータにしても、「ログの集積」から「有意な情報を見出す」という行為は非常に難しいわけですが、石川初さんは面白いほどたくさんの「マッピング」の事例を紹介してくれます。
最近はGoogleマップでワードを検索するとマッピングしてくれる。やり始めると朝まで楽しんでしまう。「居酒屋」で検索すると鉄道が浮かび上がる。「小学校」で検索すると均等に散らばる。 #genroncafe
— siskwさん (@siskw) 2013年5月18日
左:居酒屋、右:小学校
例えば、Google Mapsで「居酒屋」と検索した時と「小学校」で検索した場合における、ピンク色の点の散らばり方は異なります。それは事実。しかし、それがなぜ異なるのかを考察するには、検索されたモノに存在する「制度」へと、思考を飛躍させなければならないのです。
石川さんの話を聞いていて、「マッピング」が「一般意志2.0」や「ビッグデータ」に何か伝えられるとするならば、その思考の飛躍には「図形(パタン)」による情報の把握が有効だ、ということなのではないかと思いました。そう考えると、ここから池上高志氏の「動きが生命をつくる」(AA)やそのベースのカオス理論へと話が結ぶことができそうで、まだまだ話題が尽きない感じがします。
次回の石川さんの授業は6月8日に予定されています。興味が湧いた人は、ぜひゲンロンカフェまでレクチャーを聞きに来てはいかがでしょうか。
twitterの自分の実況のまとめ
始まった! #genroncafe
— siskwさん (@siskw) 2013年5月18日
石川初さんのレクチャー「地図と地上へのまなざし」始まりました! #genroncafe
— siskwさん (@siskw) 2013年5月18日
石川初さんはランドスケープアーキテクトです。日本語で言うなら造園。多くの人によく知られているのは、GPSを利用して絵を書くGPS地上絵。今日は地図を通して地面について考えてみよう、という趣旨です。 #genroncafe
— siskwさん (@siskw) 2013年5月18日
最初のスライドは3〜5歳の幼稚園の子供の絵。そこには地図的に展開された絵が描かれている。 #genroncafe
— siskwさん (@siskw) 2013年5月18日
駅の出口などには地図があり、そこには必ず「you are here.」がある。人は常に自分の位置を確認する。一方で地図は必ず抽象化されている。地図に求められる内容により抽象化の度合いは異なる。山手線は丸くない。緑でもない。しかし丸く想定した方が考え易い。 #genroncafe
— siskwさん (@siskw) 2013年5月18日
最初の路線図はロンドンの地下鉄の路線図。最初は街の地図に実際の路線を重ねていたが、1933年にハリーベック氏が路線だけの地図(チューブマップ)を考案した。ただし抽象化が進んでもテムズ川が残っていることは興味深い。 #genroncafe
— siskwさん (@siskw) 2013年5月18日
日本の場合は、都営もメトロも皇居が真ん中にある。路線図がなぜそのような形でも充分なのか。それは自分たちがその「電車で移動する」という文脈の中にいるから。では、普通の地図ではどうだろう。何が描かれていて、何が描かれていないか。 #genroncafe
— siskwさん (@siskw) 2013年5月18日
例えば、地図には多くの色が使われているが、街にはその色が使われていない。逆に街に広がる風景の多くは地図には表れない。それは、地図は社会制度のグラフィックであるから。地図が役にたつのは、私たちが社会制度の中で生きている。 #genroncafe
— siskwさん (@siskw) 2013年5月18日
また、都市化というのは、土地を社会制度に位置付けていくこととも言える。鉄道とバスを比較すると制度と地理の違いが浮かび易い。バスの路線図がわかりにくいのは、車は地理の広がりの中で使われるから。しかしバスの運用は鉄道的。それ故にバス路線図はわかりにくくなる。 #genroncafe
— siskwさん (@siskw) 2013年5月18日
地図の種類。ひとつはナビゲーション。作成者が意図を持って地図を作り、そこに利用者を規定していく。ふたつめはマッピング。こちらは作成している時には何が表れるか分からない。作った後から意味を読み取る。例として天気図。 #genroncafe
— siskwさん (@siskw) 2013年5月18日
天気図は、意図をもって描かれない。できた物から天候を予測し、読み取っていく。他には統計図。アメリカで特に発達している。例えば、炭酸水の呼ばれ方のマッピング。ソーダ、コーク、ポップ、それぞれの呼び方から地域の特徴が表れるか。 #genroncafe
— siskwさん (@siskw) 2013年5月18日
研究では、地球の歩き方の地図の切り取り方を研究した地図(東工大金森さん2012)。切り取り方によって紹介する側の街に対する意図が読み取れる。面白い試みとしては、今和泉隆行氏による架空の都市「中村市」の地図。chirijin.com #genroncafe
— siskwさん (@siskw) 2013年5月18日
ITアーキテクト・鈴木雄介氏に作成して頂いた、じゃらんの宿泊施設の部屋単価の分布。フォッサマグナに沿って高い単価の点が連なって浮かび上がる。このように集めることで意味が取れるものがマッピング。 #genroncafe
— siskwさん (@siskw) 2013年5月18日
Yahooで検索されたワードと地域の偏りの話が面白かったw #genroncafe
— siskwさん (@siskw) 2013年5月18日
Trulia:不動産Webサイト。NYの通勤時間のマッピング。公共交通機関と自家用車でパターンが変わる。ラスベガスではあまり差がない。 #genroncafe
— siskwさん (@siskw) 2013年5月18日
最近はGoogleマップでワードを検索するとマッピングしてくれる。やり始めると朝まで楽しんでしまう。「居酒屋」で検索すると鉄道が浮かび上がる。「小学校」で検索すると均等に散らばる。 #genroncafe
— siskwさん (@siskw) 2013年5月18日
facebook友達マップ。北米は人口密度に比例する。しかし中国とロシアはぽっかり抜ける。フォースクエアのチェックインのマッピングでは皇居がぽっかり抜ける。eric fischer氏による位置情報をテキストと写真のマッピング。都市構造が浮かび上がる。 #genroncafe
— siskwさん (@siskw) 2013年5月18日
パリではシャンデリゼなどが浮かび上がる。ヴェルサイユでは写真が撮られているのがわかる。ニューヨークでは河の向こうとセントラルパークで写真が撮られている。ジャカルタは写真が撮られていない。 #genroncafe
— siskwさん (@siskw) 2013年5月18日
日本ではさらに、海上にテキストツイートが分布している。これは地震の震源地をツイートするbotのツイートが表れている。つまり、震源地の分布になっている。 #genroncafe
— siskwさん (@siskw) 2013年5月18日
緯度経度のキリのいい地点に行って写真を撮って集めるサイト。地面のグラデーションがよく表れる。私たちの旅行は都市を巡るので都市のイメージが残るが、グリッドで地面を集めると地球が地面で覆われていることが分かる。 #genroncafe
— siskwさん (@siskw) 2013年5月18日
ここからGPSの宣伝番組になります!(笑) #genroncafe
— siskwさん (@siskw) 2013年5月18日
グローバルポジショニングシステムことGPS。人工衛星と受信器による、位置情報解析。点を記録して線情報にして行く。実際に買って地図に自分の軌跡をプロットすると、地図に参加した気持ちになる。 #genroncafe
— siskwさん (@siskw) 2013年5月18日
GPSを買ってから10年間持ち歩いている。その中から面白いログを紹介。例えば、飛行機の上で旋回して待たされた時、富士山に登った時、よみうりランドで遊んでる時など。高度も取れ、Googleアース上に展開できる。 #genroncafe
— siskwさん (@siskw) 2013年5月18日
「GPSログを取ると、退屈な日常がフィールドワークになる。」 #genroncafe
— siskwさん (@siskw) 2013年5月18日
GPSログは様々に色分けできる。速度や時刻で色分けすると、そこから都市のフィールドワークが可能。毎日のログの取得から「日常フィールドワーク」が可能になる。猫の首にもGPS。 #genroncafe
— siskwさん (@siskw) 2013年5月18日
ヒトのログとネコのログを重ね合わせてみると、人が制度の上で動いていることがよく分かる。ネコが見ている、自分が見たことがない景色がある。 #genroncafe
— siskwさん (@siskw) 2013年5月18日
イギリスのアーティストjeremy wood氏によるGPSアートの紹介。タイトルもバースケールもGPSの軌跡で記す。負けじと自分もチャレンジ。日本ではオープンスペースが少なく道がうねっているので、事前に地図で通路を決めて歩く。 #genroncafe
— siskwさん (@siskw) 2013年5月18日
GPSログの良いところは、データが残せるのでプログラムがアップデートする度に重ねて表示できるところ。何度でも楽しめる。 #genroncafe
— siskwさん (@siskw) 2013年5月18日
ポーク光ヶ丘(笑) #genroncafe
— siskwさん (@siskw) 2013年5月18日
他にも馬込馬、多摩パンダ、かたつむり、タモリ@目黒などなど。衛生写真にマッピングされたタモリさん。 #genroncafe
— siskwさん (@siskw) 2013年5月18日
GPS機器の使用法と逸脱段階。自分の位置の把握→記録→解析→面白い軌跡の収集→表現。最近はまた移動の軌跡に注目し始めている。 #genroncafe
— siskwさん (@siskw) 2013年5月18日
しょーへーさん@shohei0308 からの質問。一般意志2.0にもつながる話なのですが、ログを集積して集めていった結果、どうやって加工していくのかについてどのように考えているのか。 #genroncafe
— siskwさん (@siskw) 2013年5月18日
石川:ビッグデータは確かに政策などに活用され始めている。個人としてはパーソナルに、地球と自分がどう接しているのかを確認するために楽しんで使っていきたい。 #genroncafe
— siskwさん (@siskw) 2013年5月18日
次回は地形。こちらも語り始めると夜が明けるとのことなので期待ですね! “@tokada: 今回、ネタを出し切った感があるけど、第2回以降はどうなるのか気になる。 #genroncafe”
— siskwさん (@siskw) 2013年5月18日
今回は語らなかったことに「時間」がある。古地図との比較など、時間により変化するものは地図と密接な関係が読める。#genroncafe
— siskwさん (@siskw) 2013年5月18日
以上で石川先生のレクチャー終了です。ありがとうございました! #genroncafe
— siskwさん (@siskw) 2013年5月18日